東北豪華無人小屋の旅

2015年9月19日(土)〜22日(火・祝) 参加者:10名

  • 混雑する有名山岳を避けて、素敵な無人小屋に泊まりながら渋い山を巡る旅でした。
  • 初日は栗駒山の笊森山荘、二日目北上山地北部の遠島山荘、三日目五葉山のしゃくなげ荘に宿泊。
  • いずれも甲乙つけがたい、素晴らしい無人小屋でした。そして何と言っても圧巻は栗駒山の紅葉でした。

9月19日
 南浦和駅に集合して、シルバーウィークの渋滞を避けるため、常磐道経由で栗駒山の登山口、須川温泉に向かう。順調にひた走り、須川温泉にはほぼ予定通り14時前に到着し、準備を整え今日の宿泊地、笊森山荘に向かう。時々見える栗駒山の山肌は紅葉に染まっている。
 名残ヶ原を横切り、三途の川を渡って、産沼から笊森山荘へ向かう道に入る。産沼までは良い道だったが、分岐を過ぎるとちょっと道が悪くなる。さらに最後の沢を渡ると格段に道が悪くなり、訪れる人の少なさを物語るような感じになる。なお水場はこの沢水ではなく、沢のすぐ脇に湧き水があり、清冽な飲料水を得ることができる。
 登山道に覆いかぶさる草や潅木を分けて進むと草紅葉の草原に出て、その先に瀟洒な笊森山荘が現れた。小屋は平成13年建築というが、全く経年変化を感じさせないような綺麗な小屋で、快適な夜を過ごせそうだ。水汲みの道すがら、天候は回復し、周囲の紅葉に目を奪われた。小屋では参加者それぞれが簡単な白米の炊き方を実践し、きちんとした夕食を摂った。日が暮れると小屋の玄関前からは一関市方面の夜景が見えて、明日の好天を期待せずにはいられなかった。  

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9月20日
 夜半から雨と風。時々唸りを上げながら強風が吹き抜ける。予定の時刻に起床したが、これでは栗駒山への登山は無理と判断し、この山は天候が回復すれば最終日に登ることにして、急遽遠島山荘に向かうことにした。雨の中、駐車場へと下山した。
 車で栗駒山を降り始めると天候は急速に回復し、晴天になった。だが奥羽山脈の山々は頂上稜線に雲がかかり、相変わらずの天候のようだった。道の駅などで昼食を摂ったり、休憩しながら久慈市を目指す。さらに日帰り温泉で二日間の汗を流し、遠島山荘へ向かう林道に入る。林道は途中で「四駆でなければ無理」と言われる悪路となりK氏の高級車はここで駐車。乗車していた参加者はここから徒歩で山荘に向かった。Oの四駆車は山荘まで入ったが、到着するなり山荘の立派さ、周囲の環境の良さに度肝を抜かれた。
 遠島山荘はペンションかと思うくらいの素晴らしい山荘で、これが無人小屋かと驚かされる本当に豪華な避難小屋だ。この日も皆コメを炊き、もうこれでどの山に行っても自炊で食事ができる程に手馴れてきた。夜は素晴らしい星空で、小屋前の広場で久しぶりに満天の星空を楽しんだ。北斗七星が周極星になりそうだ。北の国に来たのだと実感する。

9月21日  一夜明けて、快晴のもと遠島山に向かう。軽装だから足取りも軽い。登山道の途中には素晴らしいブナ林が広がり、豊かな自然が残されていることに感激する。登山道には1合ごとに合目表示があり、励みになる。またそれほどの急坂もなく、割とあっけなく遠島山に着いた。頂上は展望が効かないが、少し行き過ぎると南から西への展望が開け、岩手山や早池峰山が見えた。
 名残を惜しむ間もなく、往路をとって返して遠島山荘から次の宿泊地、五葉山へと出発する。途中、東日本大震災の被災地を抜けて、大船渡市の赤坂峠に向かった。
 峠には広い駐車場と清潔なトイレがあり、多くの自家用車が駐車してある。人気の山らしいことが伺える。峠からは緩やかな登山道を五葉山に登っていく。2時間足らずで今宵の宿、しゃくなげ荘に到着し、荷物をおいた後、頂上を往復する。広い頂上には、一等三角点が鎮座し、360度の展望が開けていた。小屋に戻れば毎日のこと、食事の準備と乾杯だ。今夜も素晴らしい小屋で快適な夜が約束された。

9月22日
 今日も素晴らしい天気だ。夜明け前、まさに満天の星が夜空を埋め尽くしていた。
 食事もとらず暗いうちから赤坂峠に下山し、栗駒山へ向かう。帰りの高速道路の渋滞を考えると、早ければ早いほど好都合だ。とはいうものの、東北は広い。3時間走って須川温泉に着くと、駐車場は大賑わいで、登山者と湯治客の車でほとんど満車状態だった。
 やはり背梁山脈のせいか、標高が高いところは雲の中だ。3日前に登った道を須川コース分岐までたどり、ここから栗駒山へと登っていく。既に山頂に登った人が次々と下山してきてすれ違いが忙しい。だが、登るに従って雲が切れ始め、時折日も刺すようになってきた。天狗平を過ぎるとついに青空が広がりだした。
 陽光に照らされる紅葉が美しい。山肌が赤、黄色に染め上げられている。1時間30分あまりの歩行時間で、これまた一等三角点の栗駒山頂上に着いた。頂上は風が強く吹き、雲が湧いて展望は今ひとつ。集合写真を撮ってそそくさと頂上を辞す。
 産沼方面に下り始めると、行く手にはパッチワークの絨毯のような素晴らしい紅葉の景観が広がっていた。先日泊まった笊森山荘がまるでおとぎの国の可愛らしい家のように紅葉の海に浮かんでいる。こんな素晴らしい紅葉は久しぶり。ついつい足を止めて見入ってしまう。それでもあっけなく産沼分岐に降り立ち、一昨日雨の中を歩いた道に出た。4日間の山旅もこれで終わりだ。10名の素晴らしいメンバーで東北の山と無人小屋を楽しんだ。また何度もコメを炊いて、無人小屋でも食事の心配をしなくていいようにトレーニングできた。行ける山の範囲がワンランク広がった。少しの重荷を我慢して頑張れば、ただ頂上を往復するだけの山行から、縦走や周回のロングコースを歩くこともできそうだ。これを糧にまた充実した山登りを楽しみましょう。

O. 記

 
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