豪華東北無人小屋の旅 Ⅱ ー白神岳と八甲田山ー

2016年6月10〜12日(日) 参加者:9名

  • 3日間天気に恵まれ、予定のコースを完歩しました。
  • 白神岳避難小屋はそのロケーションに感動しました。
  • 仙人岱ヒュッテは古い小屋でしたが、整備は行き届いており快適に過ごせました。
  • 最終下山後、温泉入浴中に外は豪雨になり、運の良さを天に感謝しました。

10日 晴れ
白神岳登山口駐車場13:30ーマテ山分岐15:26〜40ー白神岳頂上17:21〜36 (実働3時間08分)
 新青森駅に集合して、ここで借りたレンタカーと数日前から東北方面の山々を逍遥していたK氏の車で一路白神岳登山口を目指す。途中地元スーパーに立ち寄り、弁当を購入して千畳敷という奇岩の名勝で昼食にした。
 ほぼ予定通りの13時30分、白神岳登山口駐車場を出発。稜線を巻き登るような登山道に入った。登山道では地味だが、可憐な花々が足元を彩っていた。マテ山分岐で稜線に出ると、あとは「ブナ街道」と呼ばれるブナ原生林の道になる。そして森林限界にでると、頂上稜線に目指す避難小屋?が見え、背後には傾いた太陽の光が日本海を輝かせ、思わず足を止めて眺めいってしまった。というか重荷でヘロヘロな私は、眺めを口実にしばしば休んで、メンバーからだいぶ遅れてやっとの思いで頂上に到着した。
 白神岳頂上は西に日本海、東は世界遺産白神山地の広大な原生林を見晴らす大展望のピークだった。白神山地には送電線や林道といった人の営みの痕跡は全く見当たらず、「なるほどこれが世界遺産か」と思わず納得の眺めだった。頂上のすぐ近くに少々傷みが目立つ白神岳避難小屋があり、先程森林限界で見えたのはトイレ棟であることが判明した。また頂上直下からほんの数分降りたところに冷たい水が湧く水場があり、こんな頂上近くに湧き水があるなんてと不思議な気分になった。宿泊には素晴らしい環境の避難小屋だ。そして夜になれば漆黒の空に、銀の砂を撒き散らしたように無数の星が輝いて、山頂で過ごす夜の楽しさを心ゆくまで味わうことができた。

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11日 晴れ
白神岳避難小屋5:25ーマテ山分岐6:39〜48ー登山口駐車場8:12=酸ヶ湯駐車場13:38ー仙人岱ヒュッテ15:19 (実働2時間29分+1時間26分)
 夜明け前に起床して山頂でご来光を待つ。やがて岩木山の裾野から真っ赤な太陽が登る。今日も素晴らしい晴天だ。周りを見渡せば、北には渡島半島の大千軒岳など、海を隔てて北海道の山々も見えており、南には鳥海山の姿もうっすらと認めることができた。
 手早く朝食を済ませた後、昨日きた道を戻っていく。頂稜ではシラネアオイやハクサンチドリなど高山植物を愛でながら、そして白神山地への最後の一瞥の後、頂上稜線を離れて、日本海へと向かってブナ街道を降りていく。途中「最後の水場」で水を汲んで、あとは一目散に登山口に戻った。
 再び車上の人となり、酸ヶ湯温泉に向かう。途中、広大なリゾート施設にある温泉に立ち寄る。「ウェスパ椿山」というコテージやホテル、さらには展望台へ向かうケーブルカーまであるすごいところだ。温泉も圧巻で、天候が良ければ浴室の壁が取り払われ露天風呂に変身する。もちろん湯船に浸かりながら日本海を見渡すことができる。脱帽な温泉だった。このあと途中の道の駅で昼食にしようとしたのだが、時刻が早くて食堂は開店前のため、昨日と同じく弁当を購入して海辺で食事にした。
 途中再び昨日寄ったスーパーで買い出しをして、一路酸ヶ湯に向かう。夏のような強い日差しが降り注ぐ駐車場に車を止め、さぁもうひと踏ん張りと仙人岱ヒュッテへの道を登り始める。はじめは林間の道で日が遮られたが、風通しが悪く暑いことこの上ない。それでもほぼコースタイム通りにヒュッテに到着することができた。
 ヒュッテには、ショートスキー持参の電脳登山部会員Y氏が、偶然を装って既に到着していた。この無人小屋も少々老朽化は否めないものの、手入れが行き届いており快適だった。この小屋を整備するボランティアチームがあるらしく、今回同宿の方はその一員として函館からここに通ってきているということだった。小屋に近くに残雪があり、そこに缶ビールやワインを冷やして、いつものごとく宴会モードになった。水場もすぐ近くに「八甲田清水」という冷たい水があり宿泊には申し分ない。ただ小屋の周囲はすぐ際まで樹木が茂っており、星空は見える範囲が限られて残念だった。

12日 晴れ後曇り
仙人岱ヒュッテ5:35ー大岳6:32〜41ー下毛無岱8:03〜32ー酸ヶ湯9:15 (実働2時間34分)
 この時期のご来光は小岳の向こうからのようで、日の出を拝むことはできなかった。小岳の陰から太陽が高く登った頃、今日の行程は2時間30分ほどだが、午後からは天気も下り坂ということで、昨日とほぼ同時刻に小屋を後にした。
 大岳への登りは雪渓もある急峻な登山道で、朝一番の身体には堪える道だった。振り返れば南八甲田の山々が連なり、スキー好きの飛び入りY氏は来年のシーズンに思いを馳せているようで、電脳登山部の山行計画を検討中らしい。乞う御期待!!! そして1時間ほどで大岳の頂上に到着した。
 八甲田最高峰からの眺めは素晴らしく、周囲にいくつもの山々を従えているさまが読み取れる。方位盤もあるが、遠くの山は雲がかかっていてよくわからなかった。どうやら天気は下り坂のようだ。頂上からは歩きづらい岩クズの道を大岳避難小屋まで下降した。この小屋も綺麗な小屋だが、居室によってはトイレがクサそうだ。
 あとは毛無岱の湿原地帯をのんびりと下るだけだ。秋にはさぞかしと思うような様々な木々が湿原を縁取る。ゼヒ紅葉の時期に再訪したいものだ。下毛無岱の休憩所で名残を惜しみながらゆっくり休憩した後、湿原に別れを告げて、あとは一目散に酸ヶ湯を目指して下山する。タケノコ採りの人たちとすれ違いながら、全くあっけなく酸ヶ湯に到着した。まだ食堂も開いていない時刻だ。だが、温泉に入って一息ついた頃から、外は豪雨となり、何と運の良い時間に下山したものよと皆で話し合った。
 これで3日間の山旅も大団円。新青森駅に向かい、ゆっくりどこかで乾杯しながら昼食でもと考えていたが、駅についたら何と新幹線の座席がない。全車指定席の列車しか無いのに午後の指定券は悉く売り切れ。かろうじてすぐ発車する列車に席が残っているだけの状態。やむをえず、弁当を買って慌ただしく列車に乗り込む。ということでK氏とはここでお別れ。車の提供ありがとうございました。気をつけてお帰り下さい。で、新幹線に乗ってしまえばもう帰ったも同然。全くもってありがたいことだ。

 Script by O. and Photo by O. and Y.

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