2016年9月2日(金)〜4日(日) 参加者:4名
- いつかは行きたいと思っていた大キレットを通って槍ヶ岳まで。
- 緊張は強いられるものの、思ったよりは楽に縦走できました。
- 今回は北上しましたが、南下の方が容易ではないかと思われました。
9月3日(金) 晴れのち曇
上高地バスターミナル8:30→11:21横尾11:36→14:30涸沢ヒュッテ
集合は上高地バスターミナル。夜行バスでの参加はだいぶ待ち時間があったことでしょう。申し訳ありませんでした。
素晴らしい晴天の上高地をあとに、涸沢ヒュッテ目指して出発する。途中明神岳の勇姿を見ながら、そのうち計画しませんかという話になる。来年だね!
横尾からはすっかり人通りの減った道を涸沢へとまっしぐら。時折吹く樹間の風は秋を感じさせる。やがて涸沢ヒュッテが見えてきて、屏風のような穂高連峰が出迎えてくれる。何時来ても素晴らしいところだと全員一致。夏に貸しテントを借りて定着し、暇を見ては穂高に登ったり、ビール飲んでマッタリするのがいいのではと来年の山行計画が持ち上がる。
ヒュッテは比較的空いており、テントサイトも空きが目立つ。ゆったりと明日に備えることができた。
9月3日(土) 晴のち曇
涸沢ヒュッテ5:03→8:32北穂高小屋8:41→10:08A沢のコル10:22→12:35南岳小屋12:56→15:43槍ヶ岳山荘
ヘッドランプ無しでも行動できる位の明るさになってから出発。北穂沢の途中でご来光になる。今日も良い天気で眩しいほどの青空だ。朝日に染まる穂高連峰、光り射す涸沢。清々しい朝の景色に元気をもらって北穂高岳へと登っていく。
登りつめた北穂高岳頂上からは、定番の槍ヶ岳の姿にやはり感動し、周囲の山々を指さして至福の時を過ごす。が、この先の難路を思うとあまりシアワセな気分には浸りきれない。北穂高小屋のテラスで英気を養い、いよいよ大キレットの道に入っていく。
今回のコースではこの北穂高からの下りが最もイヤラシかった。A沢のコルが真下に見えるような急勾配で、鎖や梯子も少なく、自力でクライムダウンしなければならない場面が連続する。さらに一般のガイドブックではほとんど南下するルート取りが紹介されているせいか、すれ違う人が多い。結構危ういところで交差しなければいけないので、気苦労が絶えない。さらに行きかった人が落石を起こさないとも限らず、後方にも注意がいる。
すれ違う人に一番の関心事、「飛騨泣き」を尋ねてみるが、わからなかったという答えが返ってくる。大キレット最難関の飛騨泣きに気が付かないなんて、と思っていたのだが、我々もよくわからないうちにA沢のコルに降り立った。帰宅した後、資料で確かめてみるが「なんだあそこだったのか」と思う始末。昨年からの岩トレの成果を見たような気がする。
A沢のコルでようやく心安らかに休憩して水分を摂るなどして体調を整えてから、もうひとつの難所長谷川ピークへ向かう。こちらは鎖が整備されており、難なく通過した。だが、高度感は素晴らしく、写真を撮るのも内心穏やかではない状態だった。ともかく、高度感にパニクらず、落ち着いて行動すれば大キレットだからといって恐れる必要はないようだ。勿論岩場での身のこなし、三点確保など基本技術はマスターしていなければならないが・・・。
難所を越えてヤレヤレとキレットの底の小さな突起群を越えていく。最低鞍部からはいよいよ南岳への登りなのだが、A沢のコルあたりから眺めても一体どこを登るのか、皆目見当が付かない南岳南壁に、うまく梯子や鎖を散りばめて、グングンと高度を稼ぐ。遠くから見ていた印象よりだいぶ容易に南岳小屋に到着した。キレット通過で疲れていた場合にはこの小屋に泊まるのもありかと考えていたが、時刻も早いしやはり計画通りに行動しようと、槍ヶ岳への道に入る。
今までと違って一歩一歩に気をあまり使わずに済む道で、中岳、大喰岳と3000メートル級のピークを越えてようやく槍ヶ岳山荘に着くことができた。早朝から10時間を越える行動時間だった。
今日の槍ヶ岳山荘は「播隆祭」とのことで、縁のお寺の住職さんがわざわざ槍ヶ岳山荘まで登ってきて、お経を唱えていた。我々も小屋の振る舞い酒をいただいて、ちょっと儲けた気分になった。
9月4日(日)晴れ
槍ヶ岳山荘6:06→6:26槍ヶ岳6:43→7:05槍ヶ岳山荘7:20→9:57槍沢ロッジ10:12→14:00河童橋(解散)
昨夜は強風と雨で夜明け前も霧が立ち込めて、天候が心配だったが、東の空が染まりはじめる頃から急速に晴れて素晴らしいご来光になった。ちょっと涙がでそうなくらいの美しい朝であった。
今日は大槍の頂上に登ってから下山するだけなので、槍ヶ岳山荘でゆっくり朝食にしてから頂上に向かった。大槍への道はほとんど登り下りが分離されているが、そこそこ気を使う岩場もあった。長い梯子を登りきれば大槍頂上だ。周囲の360度の展望を欲しいままにして、山座同定が忙しい。雲海があるので低い山は見えないが、中部山岳の名だたる山がほとんど見えているようだった。
大槍を下って、名残惜しく槍沢の下降に入る。周囲の草は黄色く染まって草紅葉の始まりだ。当然グングンと下る。どうもいつもこの道は消化試合のようで申し訳ない気分になる。適宜休憩をしながら、上高地を目指して下山していった。
今回の山行は天候に恵まれて、実に快適に予定のコースを歩くことができた。参加者も岩トレに参加していた人たちで、トレーニングの成果を発揮するように、安定したムーブで岩場を越えて行く事ができた。トレーニングを重ねて、実力を備えて難しい道にチャレンジする、これこそが山登りの醍醐味だと思うが、皆さんはいかがお思いだろう。
また来年も今度は南下コースで大キレット、穂高連峰の縦走登山を計画する予定です。自力でコースを完遂する喜びを味わうためには日頃の体力増進、技術向上の努力が不可欠です。ぜひ一緒に達成感を味わいましょう。
Script by O. Photo by O. and K.(K)
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