2016年10月15〜16日(日) 参加者:10名 本部合同
秋の紅葉シーズン限定だが苗場や田代、かぐらみつまたスキー場のゴンドラやリフトが営業しているので、田代ロープウェイを使うと比較的短時間で苗場山に登ることができる。首都圏朝発で苗場山頂上に着けるこのチャンスに、翌日小松原湿原へ縦走して津南へ下山する、公共交通機関利用の山行を本部合同で行った。
- 二日間とも快晴に恵まれ、素晴らしい道を歩いて来ました。
- 田代ロープウェイから登るこの道は、比較的楽に苗場山に登ることができました。
- 小松原湿原への道は、ほぼ明瞭ですが、急峻な難路もあり登山技術を試されるような道でした。
15日 快晴
田代ロープウェイ頂上駅9:22ー和田小屋分岐12:08〜40ー苗場山14:06(泊) (実働3時間29分)
田代ロープウェイは9時営業開始だが、始発はすでに満員。頂上駅を降りて、登山道に向かうが、ドラゴンドラの頂上駅付近も老若男女の観光客で大賑わい。スキー場会社の思惑は大当たりのようだ。
登山道に入るとようやく観光地の喧騒から逃れることができた。空は予報通りの快晴。スキー場の日なたは暑い。比較的なだらかな登路をゆっくりと登っていくが、登るに従い背後の景色がひらけてくる。また樹間からはこれから向かう苗場山が、いつも遠くから見ているなだらかな山容とは大違いの、いかつい風貌で見えてくる。すんなりと和田小屋からの登山道に出た。ここで大展望をオカズに昼食にした。
北東側の展望は近くの谷川連峰から尾瀬・日光、そして巻機山や越後三山から守門岳への越後の山々が一望で、参加者はそれらを一つ一つ指さしてそれぞれかつてそれらの山頂に至った山行を思い出しているようだった。
ここからは神楽ヶ峰を通り、雷清水で飲料水を補給し、苗場山への最後の急登に挑む。驚くほどの急坂だが、足元に気を付けながら落ち着いて登る。すると程なく木道が現れ、頂上平原の一角に登りつく。やはり歓声があがる。こんな高所にこんな平原が広がっているなんて!・・・。そして南側の展望がひらけて志賀高原から白砂山、佐武流山、奥には浅間山など上信国境の山も見えてきた。草はすっかり黄金色になり、その合間に池塘の水が光っている。
頂上で記念撮影をしてから、今宵の宿「苗場山自然体験交流センター」に入った。今日は満員だそうだ。もう間もなく冬期閉鎖になるという時期なのだがまだまだ賑わっている。寝所を確保してから、小屋近くの湿原を一望する休憩ブースで、登頂を祝って乾杯した。ちょっと肌寒くなるまで、参加者の交流は続いた。
夕暮れ時も天気は良いままで、北アルプスがシルエットになって西の空に浮かんでいた。やがて不帰キレットに陽は沈んだ。と東の空には満月。月は美しいが、これでは星空は望み薄だ。ちょっとがっかり。だが、池塘に映る月はなんとも幻想的で、しばらくヘッドランプも消して木道を逍遥した。
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16日 快晴
苗場山6:27ー和田小屋分岐7:45ー霧ノ塔9:17〜19ー小松原避難小屋11:03〜30ー見倉トンネル北口14:28〜33ー結東15:25 (実働7時間21分)
今日もいい天気だ。東の空には印象的な雲が浮かび、赤く染まっている。その近くに予想外に鋭い皇海山が端正な姿を見せている。その皇海山が横から射す朝日に照らされてほんのり赤くなったかと思うとその左方からご来光になった。霜で滑りやすい木道を西側が見渡せる場所へと急ぐ。西にははるかに北アルプスが並んでいる。鳥甲山や妙高・火打にも朝日が当たっている。昨夜の山小屋は満員で暖かく、快適に安眠できたが、周囲のチシマザサや木道は霜で白くなっており、またほとんどの池塘はしっかり氷が張っている。外はだいぶ冷え込んだようだ。
朝日に照らされた美しい頂上湿原をあとに、昨日来た道を戻っていく。苗場山の急坂を慎重に降りて、雷清水で給水。神楽ヶ峰を素通りして上越国境の山々を見ながら小松原分岐に着くと、これから向かう稜線の次のピークに素晴らしく美しい草原が見える。あそこまで行って休憩にしましょうと、歩き始めるが、一旦降りた鞍部は巨岩が累々としてその上に這い上がりながら進むような道で、非常に苦労させられた。ほうほうの体で目指す草原に着いたが、草原は確かに美しいが、登山道が湿っぽくて快適には休めなかった。ここは神楽ノ庭と言うらしいが、展望は素晴らしく、遠く飯豊連峰がうっすらと見えた。まだ雪は降っていないようだ。ずっと見渡しても白い山は全く見えない。
ここからは稜線を忠実に辿って小松原湿原を目指す。霧ノ塔へは急峻で高度差のあるピークを越えて行く。道ははっきりしているが、踏み固められていない感じで時に歩きづらい。やがて三角点のある、霧ノ塔に着く。なんでこんな名前になったのか興味をそそられるところだ。
霧ノ塔からは転がり落ちるような急坂を降りる。山麓は紅葉が美しい。前方には三ノ山の登山道が見えるが見るからに快適そうな道だ。急峻な下降を何とかこなすと、まるでそのご褒美のように気持ちのいい縦走路が三ノ山に向かって続いている。縦走のフィナーレを飾るにふさわしい素敵なトレールだ。
三ノ山頂上でこれで展望はおしまいと名残惜しく周囲を見渡して、緩やかな尾根道に入る。なだらかに下って行くとやがて道は尾根を離れ、沢に向かう。沢を飛び石づたいに渡ると小尾根を乗り越してしばらくで、三角屋根が印象的な小松原避難小屋に着いた。1980年築というが綺麗で快適そうな小屋だ。だが、もう雪囲いをしたのか窓は塞がれて内部は真っ暗。そこで、小屋の周りで昼食にした。水場は小屋前の踏み跡をたどると30メートルくらいで小沢があり、そこで取るようだ。休んでいると、女性が二人下から登ってきた。まさか人に会うとは・・・。だが、このふたり結局見倉トンネルの駐車場にもクルマがなく、結東からバスにも乗らなかった。いったいどこから来てどこに帰ったのか。近所の住人なのか。謎だ。
小屋からは主に木道を歩いて小松原湿原へと向かう。国内屈指の大湿原で小尾瀬とも称されるようなところだ。上ノ代、中ノ代とたどり、中ノ代の上結東分岐で小松原湿原に別れを告げる。下ノ代へ下ってしまうとグリーンピア津南か、太田新田まで出るしか下山方法がない。山開きの際には、林道が通行できて、下ノ代のすぐ近くまでクルマの便があるという話を聞いたことがあるが、そんな時でないと下ノ代を訪れるのは不可能のようだ。
分岐をでるとすぐに、木道のない湿原を歩く。ちょっと靴が潜る。そして水の流れる沢状のくぼみを下って行くと左から盛んな沢音がする。そして地形図で見てもまさかと思うような水量の沢、川クルミ沢が現れる。慎重に飛び石づたいに渡渉する。ここからは金城山に向かって最後の登り、黄葉の道を歩いていく。さらに金城山の山頂は左に巻いていよいよ見倉への下りになる。すると今日はどこかでカラオケ大会でも行われているのか、大音響の歌声がこのあたりまで聞こえてくる。里は近いのかと思わされるが、音が大きいだけでまだまだ距離はあるはずだ。だが、中津川の流れが見えてくれば本当に里は近い。もう一度急坂を降りて、見倉トンネルの入り口に立つ。やれやれと東屋で一休み。この時刻なら一浴もできる。車道をしばらく歩いて、見倉橋という映画「ゆれる」の撮影地になったという吊り橋に向かう。いい加減嫌になるほど下ると橋が現れた。確かに「ゆれる」。ちょっとドキドキしながら渡り終えて、今度は登り返す。バス停に着いて時刻を確かめてから、目の前の「カタクリの宿」という学校校舎を流用した宿泊施設で温泉に入れてもらう。清潔で大変気持ちのいいお湯でした。
ここからはバスを乗り継いで、越後湯沢駅に向かう。秘境と言われた秋山郷だが、バスの時刻さえ押さえておけば案外容易に、結東からなら2時間もかからずに越後湯沢に戻れる。駅に戻ればもう帰ったも同然。新幹線はありがたい。
Script & Photo by O.
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