中ノ岳から丹後山

2016年10月7〜8日(土)前夜発 参加者:6名

  • 行程後半の雨予報のため荒沢岳は残念ながら割愛。
  • 予定より1日短縮して悪天候になる前に下山しました。
  • 一時雨には降られましたが、山深い上越国境の山々を存分に楽しみました。

当初の予定では1日目中ノ岳避難小屋に宿泊し、翌日源蔵山のサイトにテントを設営してから荒沢岳往復、3日目に丹後山を経て下山という計画でしたが、二日目午後から三日日にかけて寒冷前線の通過に伴っての降雨とその後の冬型気圧配置が予想されていましたので、悪天候に捕まる前に下山できるよう、残念ながら荒沢岳を割愛して山中1泊で中ノ岳から丹後山を周回する計画に変更して実施しました。

7日 晴
十字峡中ノ岳登山口6:21ー日向山10:12〜29ー中ノ岳頂上13:43〜55ー中ノ岳避難小屋(泊)14:00 (実働5時間18分)
 早朝に登山口から歩き出す。駐車場にはクルマが数台。私達が出発準備している間にも1台やってきた。歩き出して取り付きの急坂を登っていると、中ノ岳往復の日帰り登山者が、山中2泊あるいは1泊の重荷を背負った我々を追い越していった。すでに今回の山行は中ノ岳から丹後山周回と決めてあったので、参加者の一部は無人小屋1泊分の装備に変更していたが、修行と称してテント泊装備も持って登りはじめた参加者もいた。
 鎖の設置された急峻な斜面を登ると程なく痩せた稜線に五葉松が並び立つ千本松原に着く。だいぶ標高も上がって展望がひらけてくる。更にブナ林を登りつめるとようやく中間点、5合目の日向山に到着した。ここからは少し下り、生姜畑と言われる湿原池塘がいくつか続く潤いのある道になる。生の湿原を歩く貴重な道だ。木々の紅葉はまだ早いようだが、湿原の草紅葉は今がさかりの美しさだ。少し登ってから鞍部へ下るといよいよ中ノ岳への最後の登りだ。
 岩クズ混じりの急坂をゆっくりと登っていく。もう先は見えているので各自マイペースで登る。やがて傾斜が緩むと十字峡から標高差1500メートルを登り切って稜線にたどり着く。一気に北東側の展望がひらけて、当初の目的地荒沢岳の勇姿が飛び込んでくる。更にはその奥に南会津の名峰たちが林立している。ここからは素晴らしい展望の尾根道を中ノ岳に向かうが、わずかの間にいくつものピークがあってジラされる。ようやく小さな祠と展望盤のある中ノ岳の絶頂に着いた。360度の素晴らしい展望だ。北は飯豊連峰、西には北アルプス槍ヶ岳まで見える。皆で感激しながら周囲の山々を指さして感慨に耽る。6月に登った米山が八海山の上に素晴らしく端正な三角形の山容を見せている。低山とは思えない風格だ。他にも上越国境から尾瀬方面、そして越後駒ケ岳の勇姿が圧巻だ。しばらく時の経つのも忘れて周囲の大展望に眺めいる。
 展望を堪能してから今宵の泊まり場、中ノ岳避難小屋に入った。着いてまず確認したのは、天水タンクの水量。水が無ければ往復1時間30分の祓川源頭まで水汲みに行かねばならない。だが心配無用、タンクは満タンだった。今夜の宿泊は我々6名に加えて奈良から来たというご夫婦と、単独行者が2名の合計10名。ゆったりとフロアを使って泊まれることになった。奈良のご夫婦は新潟の山にたびたび来ているそうで、我々の知っているおよその越後の山々にもう登頂済という強者だった。電脳登山部お得意の湯取法炊飯術に興味津々で話が弾んだ。
 やがて夕暮れとなり、徐々に周囲の山が夜のトバリに沈んでいった。上空には薄雲があり、また月も上弦近くで星空は望み薄だった。だが深夜目を覚まして窓を開けると月の沈んだ暗い空に星空が広がっていた。

---- 小さな写真をクリックすると大きな写真が見られます。写真をスクリーンショーにして見ることもできます。 ----

8日 曇り一時雨
避難小屋5:44ー九合目分岐6:09〜15ー兎岳8:27〜29ー丹後山9:39〜41ー丹後山避難小屋9:48〜10:12ー林道13:20ー十字峡登山口14:03 (実働6時間58分)
 起床する頃、外は雨。これはこのまま昨日の道を下山かと意気消沈だったが、ご来光は望めなかったものの、西方は青空が広がっている。望みをつないで、まだ薄暗い中出発する。9合目の分岐で空を確認して、この空模様では天候を理由に下山はできないと、丹後山へ向かう稜線に入る。ガスの切れ間に荒沢岳も見えている。岩がちの稜線を小兎岳との最低鞍部に向かって下る。西側から強風に煽らながらたどる稜線は痩せており、踏み外せば問題の大きい道なので慎重に下る。鞍部でようやく一息。振り返れば中ノ岳に続く稜線が高い。
 小兎岳へはいくつかの小ピークを越えながら熊笹の道を歩いて行く。もうすぐ小兎岳というところで、強雨に捕まった。雨具を羽織り、更に登って兎岳に迫って行くが、数年前に来た時は背丈を越えるような笹ヤブだったが、今はそれほどの背丈はない。踏み跡もはっきりしており以前の困難だった印象はなくなった。やがて荒沢岳への分岐に着く。道は草紅葉の中に続いており、素敵な踏み跡を辿れるようだった。この道はまたいつか行きましょうね!
 分岐からは一投足で兎岳の頂上に着いた。雨は激しく写真を撮っただけで先へ急ぐ。兎岳を下ればここからは比較的平坦なルートを歩くことになる。大水上山、利根川水源碑と辿り平坦な道に入った頃から雨は小降りになりやがて止んだ。どこが頂上だかわからない丹後山で記念写真を撮って、避難小屋に逃げ込んだ。メンバーの中には体温が下がっていることを自覚している人がおり、ここで湯を沸かして暖かい飲み物を摂って一息ついた。この小屋は一面の熊笹の中にポツンと建っており、まさにオアシスという感じだ。ここの天水タンクも一杯だった。
 小屋を辞して少し下れば9合目の分岐点だ。かつてはここに、コチラ巻機山という指導標があったが、さすがにその指示板は外されていた。もうどこにもそれらしい踏み跡の入り口は見当たらない。どこから笹ヤブに突っ込もうか悩む。巻機山への道はもう幻になってしまったようだ。
 分岐からはひとしきり急な岩混じりの道を下る。ネコブ山方面は日が当たっている。また下山の道もほとんど笹の葉が濡れていない。どうやら兎岳近辺だけ雨が降ったようだ。たまたまその時に我々はそこにいて雨に打たれたわけだ。周囲の展望を楽しみながら、森林限界の下に入った。五葉松の巨木がある道を過ぎればあとは急峻な尾根の下降だ。徐々に沢音が近づいてくる。そして登山道に階段が整備された道を降りればひょこりと林道に出た。1泊2日の山深い道をたどる旅はこれで終了だ。あとは林道を歩いて登山口に戻るだけだ。

Script by O. & Photo by O. & (O.)

---- 小さな写真をクリックすると大きな写真が見られます。写真をスクリーンショーにして見ることもできます。 ----