吾妻連峰縦走

2017年6月17〜18日(日) 参加者:14名 本部合同

  • 福島・山形県境の吾妻連峰を無人小屋泊で縦走した。
  • 登山道にはかなり残雪が残り、しばしば登山道探しが必要であった。
  • また笹や灌木の刈払いが不完全で歩きづらく、距離の割に時間がかかったような気分。
  • 一切経山から、来し方を一望してはるかな道のりに感激した。
17日
 首都圏を始発の山形・新庄行き新幹線で出発して米沢駅に到着する時刻の寸前に、天元台ロープウェイ山麓駅までのバスは発車してしまう。したがってやむを得ずジャンボタクシー2台で山麓駅に向かったが、バス時刻表の不便さにちょっと驚いた。結果的にタクシーは終点直前でバスに追いついた。ここからはロープウェイ、ロマンスリフト3本を乗り継いて、標高1800メートル地点まで、労せず到着した。文明の利器はありがたいことこの上ない。
 空は見事に晴れわたり暑い。それでも歩き出してすぐに残雪が現れ、さすがに雪に乗ると涼しい風で生き返った気分になる。まずはこの山域の最高峰である西吾妻山を目指す。周囲には日帰りと思しきハイカーがたくさんいる。大凹の斜面はすっかり残雪で埋まり、急斜面のトラバースもあって雪上歩行に不慣れだとかなり苦労する感じ。上りの途中で昼食にして、天狗岩の広場の片隅にザックをデポして頂上に向かった。西吾妻山の頂上は展望もなく静かで記念写真を撮ってそそくさと退散。西吾妻小屋に下り、小屋内をチェックしてデポ地に戻る。とここで事件発生。参加者の一人が自分のザックも背負わず、他のハイカーとともにどんどん歩いて行ってしまった。仕方なく置き去りになったザックを持ち、そのうち気づいて戻ってくるだろうと歩き始める。果たして予想通り数分で迷子の参加者と出会い、一言小言。人生の先輩にそんなこと言いたかないのですけどね。
 あとは地味な頂上をいくつか越えて今宵の宿たる「明月荘」に向かうだけ。雪原と夏道を交互に歩きながら、東大巓へとゆっくり登っていく。見渡す稜線の上に小屋かと思われる白い人工的なものが見えるが、確証は得られない。やがて東大巓の少し手前で明月荘への分岐となった。喜び勇んで緩やかに下っていく登山道をたどる。そして待ち遠しい山小屋にようやく到着した。一階には既に先着の登山者がいたので、我々は垂直のはしごを登った二階に陣取ることにした。すぐに金明水へ水取りに出かける。木道をしばらく歩くと傾斜が急になって広大な雪田が広がった。この雪田の下でも水は取れるだろうが、やはりここは「金明水」にこだわりたいと、GPSを頼りに夏道を探し、さらに下っていく。ずっと木道がつづいていたのだが、地形図上の小尾根に乗ったところで、これより下に水場はありえないと撤退。戻りながらよく探すと雪で倒れた樹木の陰に真新しい水場の標柱を発見した。一応ここで水を採ったが、周囲は雪で水場の水だか雪解け水だかわからない状態。しかし、今後のためにも確実な位置を記録できたので良しとしよう!
 我々が小屋に戻ると、以降続々と登山者が到着して、結局40人近い宿泊者で明月荘は大にぎわいであった。夜は下弦の月で星空を期待したのだが、他の登山者の就寝が早く、深夜に外に出ることも憚られたので、星空撮影は諦めた。
 北望台(頂上駅)10:24ー西吾妻山12:19〜26ー東大巓分岐15:25ー明月荘15:45(実働4時間15分)
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18日
 夜間はこれだけ人数がいると暑いといってもいいほどで、明け方までまともにシュラフに入る必要はなかった。まだ暗いうちから他の登山者は起き始めたので、我々も4時前には起床して朝食、出発の準備となった。空は曇り空で今日は遅くなると天気が崩れる予報。できれば昼のバスに間に合うといいなと希望的観測。
 予定通りに5時に小屋を後にする。歩き始めて少し、樹林帯を抜けると背後の展望が開ける。朝日連峰から月山、鳥海山、蔵王連峰と東北南部の名峰たちがズラッと姿を現した。月山はまだ真っ白。はるかな鳥海山はだいぶ霞んでいるが、特徴的な姿がわかる。思わず歓声を上げるひととき。
 やがて主稜線の分岐に戻り、吾妻連峰の縦走を再開する。東大巓はすぐそこで、登山道からわずか横に入った頂上三角点を確認する。さて此処から先は少々刈り払いの怪しい歩きにくい道が待っているはずだ。さらに今回はしばしば雪原が残り、夏道を失いやすいルートになる。だが、最近の国土地理院地形図の登山道表記は非常に正確で、GPSの現在地マークが登山道記号から外れないように雪上を進んで行けば、雪が切れると道に出ることが多い。おかげであまり迷わずに進めたが、2度ほどメンバー全員で道探しをするはめに陥った。先行者の足跡もあるのだが、行って誤りに気づき帰ってきたという痕もあり間違えやすい。道も路形ははっきりしているが、笹や枝を張った灌木が覆いかぶさり進みにくい。それでも比較的順調に歩みを進め、家形山に着いてホッと一息。だが安心しすぎて進む方向を間違え、危うく下山しそうになる。一切経山が噴火の危険性で登山禁止の時は、この道でもよかったけれど、今日は浄土平が最終目的地。数十メートル進んだところで、GPSを見て誤りに気づき、戻って全く違う方向に道探し。またもやGPSでのおかげで夏道を発見し、以降は何とか無難に下山することができた。
 家形山を下り始めると、五色沼と一切経山が美しい。頂上にたくさんの人がいるのも見える。吾妻連峰は東西の両サイドが人気なようだ。やがて今山行最後の登りにかかる。火山らしいガラガラした岩クズの道をゆっくりと、なにか美味しいものの最後のひとカケラでも味わうような気持ちで登り切ると登山者であふれる頂上についた。振り返れば昨日から歩いてきた道が一望できる。ゆっくり充実感に浸りたいところだが、ここは活火山。しかも今日は噴煙の上がる大穴火口から見ればこちらは風下。写真を撮って慌ただしく下山にかかる。たくさんのハイカーが登ってくる。もちろん下山途中の人もいる。御嶽山のように突然爆発したらとんでもないことになるだろう。
 昼のバスに十分間に合う時刻に浄土平に到着した。充実感満点の山旅だった。
 明月荘4:59ー烏帽子山7:45〜56ー家形山9:26〜46ー一切経山10:59〜11:07ー浄土平12:20(実働6時間00分)

 Script by O. and Photo by o.(o), K.(K) and O.

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