「秋田駒ケ岳から八幡平」秋田・岩手県境縦走

2017年7月7〜9日(日) 参加者:9名 本部合同

  • 秋田駒ケ岳から八幡平へ続く秋田・岩手県境を歩いた。
  • 随所に湿原が広がり、高山植物が咲き乱れる、潤いのある道だった。
  • 真夏並みの暑さで消耗したが、水場にも恵まれて全行程を踏破することができた。


7/7 (金)  田沢湖駅9:30=駒ケ岳八合目10:39ー12:03男女岳12:09ー17:34乳頭山17:49ー18:14田代岱山荘(泊) 実働6時間

 東京発一番の秋田新幹線「こまち」が到着する時刻に接続するバスはないので、私達はジャンボタクシーで駒ケ岳八合目まで直行した。ただし「アルパこまくさ」から先は、タクシーといえどもバスの後ろを付いて登らなくてはならないそうで、結果的に駅からバスで登るより、一本早いバスの後を付いて登ることになった。30分あまり稼げた。
 八合目からは阿弥陀池へ直登する道を登るつもりだったが、廃道扱いということで、男女岳をぐるりと回りこむ新道で阿弥陀池に向かった。なだらかに登る道の周囲はお花畑だ。様々な高山植物を楽しみながら、阿弥陀池に到着した。池畔には避難小屋とトイレ棟が立ち、すぐそばに水場がある。ここに泊まるのも良さそうだ。
 旧道との分岐に荷物をデポして空身で最高峰男女岳を往復した。頂上からはこれから辿る縦走路が望まれ、今日越えなければならない乳頭山が遥か遠くに見えることにちょっとガッカリしながら下山し、デポ地で昼食にした。
 このあとはただただ忍耐の縦走路だった。夏本番の日差しの中、汗だくになりながら歩きつづける。高山植物がひととき、辛さを忘れさせてくれるが、そのうちその効果も薄れてきた。持参した水を飲み干しそうになるメンバーもあり、ある意味ピンチの行程だった。
 ようやく、日も傾く頃に乳頭山に到着。先着したメンバーはブロッケンを見たそうだが、私が着いた時にはガスが山頂を覆い、展望は得られなかった。ようやくあとは下るだけの地点に着いた。そして疲れた足を引きずりながら、今日の宿「田代岱山荘」に到着した。直ちに日暮れと競争するかのように水場へと急ぐ。水場は小屋の裏にある湿原の中に踏み跡があり、これを辿ると笹薮を抜けて涸れ沢に入る。沢を下っていくのだが、岩が苔むしており登山靴では滑りやすい。また垂れたロープに頼らなければ上がれないような高い段もあり、なかなか困難な道だった。帰路は要所要所に赤テープがあり注意すれば大丈夫だが、うっかりするととんでもない方向に迷い込みそうだ。この水取りは、それなりに山慣れている人でないと危険かもしれない。
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7/8 (土) 田代岱山荘5:48ー10:00大白森10:12ー14:45曲崎山15:10ー17:02八瀬森山荘(泊) 実働9時間

 田代岱山荘をあとに、田代平を行く。これから向かう大白森の頂上が素晴らしい湿原に見えて心が踊る。今日も快晴だ。周囲の山々を指さしながら、既にだいぶ遠くなった駒ケ岳を振り返りながら進んでいく。
 湿原が終わると今度は笹薮だ。それほどの密度ではないが、慣れていな人には苦痛だろう。また標高も下がり、日も高くなってきているので体感温度は急上昇。今日も暑さとの戦いになりそうだ。大白森の水場で水を補給できないと相当なピンチでは、と心配の種が増えてしまった。
 それでも手前の小白森に着いて素敵な湿原の広がる頂上に感動すると、昨日から見えていた明らかに大草原の大白森頂上はどんなところかと、期待が膨らんで元気もでる。小白森を下って登り返すと割とあっけなく、大白森の頂上湿原に飛び出した。
 広大な湿原の広がる大白森の木道を進む。頂上標識のところで、休憩しながら周囲の展望に酔いしれる。素晴らしい頂上だ。東北屈指の高層湿原が様々な色の高山植物に彩られて広がっている。何時までもじっと座って眺めていたいような素敵なところだ。何度でも訪ねたい。即座に来年は乳頭温泉郷から入山して、大白森山荘に泊まり、二日目は三ツ石山荘泊まりで岩手山というプランが出来上がった。
 名残惜しい大白森をあとに、水場を期待して大白森山荘に降りていく。事前の情報では「沢水」とのことだったので、小屋手前の沢が完全に枯れているのを渡りながら確認して全員で落胆した。が、山荘に先着していた新ハイの他パーティの仲間たちから、水のありかを教えていただき、皆で水取りに向かえば、そこは先ほど横切った涸れ沢のすぐ下流で、水は沢の側壁から吹き出していた。冷たい湧き水に感動しながら、本当に生き返った気分になった。相模原町田支部の皆様、教えていただきありがとうございました。
 さて此処から先は時に1000メートルを切る標高のルートだ。ますます暑くなる。しかも途中でこのあたりでは一番高い曲崎山を越えなければならない。気分を変えるような好展望も期待できない。忍耐の縦走が続く。
 やっとの思いで曲崎山頂上近くになると、展望が開けて遥か遠くの駒ケ岳や八幡平の山々を望むことができた。消耗が激しいせいか、どうしても休憩が長くなる。一旦座ると立つのが容易でない。それでもここまで来ればあと1時間ちょっと。なけなしの元気で今宵の宿、八瀬森山荘に向かった。
 最後の小ピーク、八瀬森を過ぎて降りていくとようやく小屋の屋根が見えた。思わず「あった〜!」と声が上がる。11時間を越える行動時間の末にたどり着いた小屋は、少々外壁に隙間の見える建物だが、たくさんのふとんや毛布が置かれた整った小屋だった。水場もすぐ前の湿原手前の小川がそうで、結構冷たい水が流れており、ビールを冷やした。この小屋も実に快適だった。


7/9 (日)  八瀬森山荘5:10ー裏岩手縦走路分岐8:22ー13:59八幡平バス停14:30=16:35盛岡駅 実働6時間40分

 今日は最終日。天候は若干雲があるものの充分な晴天だ。ただ前日までのように無風ではなく、風がある。天候の変わり目かと思われる。出発するとすぐに湿原を横切る。木道の整備はない。どうやら山深いこのあたりでは登山者も少ないせいか、木道は少ないようだ。
 ほぼ樹林帯の中だが、時折湿原を歩く。少し靴が潜るところもある。やがて標高が上がると周囲の山々が見え始める。遥か彼方に出発点の駒ケ岳が見える。感慨深い。辿ってきた国境稜線がうねうねと曲がりながら足元に続いている。コース左端の笊森山と右端の曲崎山を一度に写野に収めることができない。
 登山道は刈り払いがされたようで快適に歩ける。予定通りの時間で裏岩手縦走路に出た。ここからは更に道が良くなる。岩手山に向かうルートは登山者が格段に多いようだ。大深岳を越えて、昨年の同時期の山行、八幡平から岩手山山行で泊まった大深山荘に着いた。この小屋は素晴らしく綺麗で快適な小屋だ。水場も数分の距離にある湿原の真ん中にあり、ものすごい水量だ。2.5リットルが数秒でいっぱいになる。この小屋でゆっくり休んでから、最終目的地の八幡平バス停へと歩き出す。嶮岨森、諸檜岳を越えて、畚岳分岐で長めの休憩。この間に元気な参加者は畚岳三角点を往復してきた。
 いよいよ最後の行程だが一投足でアスピーテラインの裏岩手縦走路入口に着いた。残りは車道歩きを残すだけ。それぞれの参加者にこの山行はどのように映ったのだろうか。それなりの満足感に充たされたと信じたい。皆様お疲れ様でした。
 あとはバスに乗って盛岡駅に向かうだけ。駅に着いたらタクシーで市内の日帰り温泉に浸かり、そこで夕食を摂り19時過ぎの新幹線で帰宅した。

Script and Photo by O.

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