2018年7月20日〜22日(日)前日泊 参加者:4名 費用:24600円 マイカー
- 料理が評判の山小屋泊まり、定番の南下コースで大キレットを歩く。
- 全日素晴らしい晴天なのはありがたいが、暑くて暑くて体力の消耗が激しい。
- 無事にキレットを通過し、北穂高小屋で美酒に酔った。
20日(金) 上高地バスターミナル6:54ー横尾9:46〜10:01ー大曲12:58~13:14ーヒュッテ大槍16:19(実働6:54)
上高地バスターミナルで全員集合の後、いつもの長い準備運動、横尾までの遊歩道歩きに入る。この道は林間で清々しいが、この先ババ平を越えれば、午後の強烈な日差しの中を歩くことになる。はじめからかなり憂鬱な気分。
横尾から徐々に登山道らしくなり、やがて槍沢ロッジにつく。ここで昼食にした後、覚悟を決めて森林限界を目指す。ババ平のキャンプ指定地を過ぎて、大曲に近づけばもう日陰はない。もろにあたまの上から熱線に晒されて、暑いことこの上ない。だが、いつもは枯れている中沢が、合流点のすぐ上流で伏流から流れを取り戻して、登山道近くに湧き出している。3秒間すら手を浸けておけないほどの氷寸前の水だ。さらにいつも休む水沢も冷水が流れており、本当に命拾いしたかのような気分になった。
そしてようやく槍沢沿いの道からヒュッテ大槍への道を分ける分岐点にたどり着いた。私はもうほぼほぼ限界だ。この後、小屋への電光型の登山道をヨロヨロと最後の力を振り絞って登っていく。到着は16時を過ぎてしまった。
ヒュッテ大槍では、ワインとデザート付きの洒落た夕食だ。そしてここから見上げる槍ヶ岳は大槍が綺麗な二等辺三角形に見えて美しい。常連さんになりたい山小屋の一つだ。
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21日(土) ヒュッテ大槍6:02ー南岳小屋10:37〜11:17ー北穂高小屋15:08(実働6:06)
夜明け頃は東の地平線に雲があり、なかなか太陽が登らず、その結果端正な大槍が赤く染まることはなかった。ちょっと残念。だが周囲の展望は抜群で、北アルプス、八ヶ岳、南アルプスと富士山など、多くの山々を指呼することができた。さぁ今日は大キレットの通過だ。
小屋を出発して、槍ヶ岳山荘へ。ここで山荘待機組と、大槍はウン十年ぶりという参加者を含む登頂組に別れて行動した。大槍の登路は混雑もなく、スムーズに往復できた。1時間ほどの滞在の後、3千メートル峰の連なる南岳への道に入る。そこそこの上り下りを幾度か繰り返し、南岳に近づくと道は岩場っぽくなってくる。途中中岳南面の雪田から冷水が流れだしており、ひと息入れた。南岳を下り山荘にて昼食。難所大キレットに備える。
南岳南壁の弱点を巧妙についた登山道は、先年登った時にはあまり印象がなかったが、下るとなるとなかなかの道だ。だがそれも鎖や梯子が現れるとほぼおしまい、気の許せる登山道になる。そしてキレットの底を多少の起伏をこなしながら北穂高に迫っていく。最低鞍部から徐々に高度を上げて、やがて鋭鋒の頂上に出る。確かこの辺りが長谷川ピークのはずと見回すと、てっぺん辺りに韓国人女性登山者が座り込み食事をしている。「Hピーク」と書いてあるかと聞いても要領を得ず、少しして日本語のわかるツアコンが何やら言って、その女性が立ち上がると間違いなくHピークの文字があった。
これで現在地を確定して、次は「飛騨泣き」を目指す。だが、おそらくここだろうという場所はわかるが、本当に泣くほどか?と言われるとそうでもないような気がする。ともかく一昨年の下りよりも、今回の登りのほうが格段に安心感がある。大キレット通過の順路は南下だね。
振り返ると長谷川ピークの稜線が鋭いリッジになっている。見るからに怖い感じがする。やがて北穂高小屋を頭上に仰ぐようになると、ようやく道らしくなって恐怖感からは解放されるが、疲労感は相当なもので、短い距離ながら2度ほど休憩をとる。やがてようやく小屋のテラスに躍り出た。
素晴らしい立地の北穂高小屋。今日の道のりを居ながらにして望むことができる。チェックインすると、ドア付きの布団部屋のような一室を指定され、まるで個室のようだ。ありがたい待遇に感謝。そしてテラスで大キレット無事通過を祝して乾杯した。夕食は評判の生姜焼き定食。3000メートルの頂上で食べるのはかなりの贅沢と思う。
夕刻は雲が湧き、ダイナミックな夕暮れになった。日没後は印象的な雲にシルエットの槍ヶ岳が重なり、実に美しかった。もちろん月が沈んだ夜半の空は穂高岳の上空に15年ぶりという大接近中の赤い火星と天の川が並び、壮観だった。
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22日(日) 北穂高小屋6:09ー涸沢ヒュッテ8:30〜9:04ー横尾11:08〜38ー上高地バスターミナル14:16(実働6:08)
北穂高小屋の窓からは東側の展望が欲しいままだ。ご来光を確かめて、皆で頂上に登る。今日も素晴らしい展望だ。十分に堪能してから小屋に戻り朝食。出発の準備をしてテラスでコーヒータイムと、優雅に山小屋ライフを満喫してから、帰路につく。すでにもう日差しが暑い。涸沢ヒュッテに近づく頃には汗だくだ。
次々に登ってくる登山者と行き交いながら、ヒュッテに降りる。「ここに来るだけでも嬉しい」というメンバーもあり、ヒュッテでのんびり今回の山行を噛みしめるようにくつろいだ。さぁあとは下るだけ。気分は消化試合。グイグイと下っていく。横尾山荘で昼食。基本的に北アルプスで一番大切な装備は「札束」であることを再認識する。
徳沢、明神と小休止をしながら、上高地バスターミナルに急いだ。
Script by O. and Photo by S., K. and O.
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