後立山の稜線を歩く  ---唐松岳〜白馬鑓ヶ岳---

2018年8月3日〜5日(日) 参加者:5名 費用:25800円 マイカー


3日(金)

 東所沢駅を6時30分に出発して、長野道、 長野市経由で白馬村を目指す。 渋滞も無く予定通り宿の駐車場に着いた。
 10時30分に出発。 15分程歩いてゴンドラ駅に到着。待つ事も無く、 ゴンドラアダムに乗って楽々と八方池山荘前に着いた。 これ程苦労しないで1800m地点に来てしまった事に山屋として 多少の罪悪感を感じながらも、夏山を歩ける喜びに、 歩行は先へ先へと急ぎ足になってしまう。 しかし下って来るハイカーが多いのには閉口したが、 これもゴンドラが有る限りは仕方が無いのだろう。 それでも混雑は八方池までで有った。
 八方池からは白馬三山は無論の事、 明日登る不帰の岩峰が気高く聳えていた。 八方池からは本格的な山路になるが、 時々ガスが掛かって涼風が心地良い。 唐松岳頂上山荘には3時少し前に着いた。 混雑具合はかなりなものであったが、 それでも8人用のスペースに私達5人が入れたのは幸運だったかも 知れない。 8人部屋と言っても実際は8人用の箱と言った方が実情に近い。
 夜空は満天星になり、今、 地球に大接近で話題の火星が東の空に赤々と輝き、 惑星としては金星と木星(?)が確認出来た。 星座としてはやはり、さそり座が目立つ。 気温はTシャツ一枚で寒くは無かった。 明日の好天を願って床に着いたのは8時頃であった。

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4日(土) 

 二日目は4時半に小屋を出発して唐松岳の山頂でご来迎を拝み、 ここで気を引き締め直して不帰のキレットに入った。 賑わっていた唐松岳の山頂を後に、 逸る身体を抑えるように慎重に進むのだが、 どうしても武者震いをしてしまうのはなぜなのだろうか。 やはりここは「天下の不帰キレット」だからであろう。
 唐松岳側から進むと三峰、二峰、一峰と進むのだが、 難所は二峰である。 二峰の南峰で小屋が用意してくれた朝飯の弁当を食べた。南峰から北峰までの吊り尾根を過ぎると鎖場の連続である。 垂直の壁に鎖が付いているので高度感は有るが、 恐怖感はそれ程は無い。しかし落ちれば終わりなので、 気を緩める事は一瞬たりとも出来ない。二峰を越えると一段落するが、やはり緊張感は体力を消耗させるようである。
 一峰を越えて「 天狗の大下り=350mの斜面」 との最低鞍部からの登りは太陽光を真ともに受けての登りであるから、体力は更に消耗する。ヘトヘトになりながら尺取虫のように登って行った。時々振り返ると、本当にあの岩峰を越えてきたのだろうかと思う様な恐ろしい鋭峰が聳えていた。
 天狗の頭を超えて天狗山荘が見えてきた時は、砂漠の中のオアシスの様に嬉しかった。なんとそこには雪解け水が(水場として)流れていたのである。私達は砂漠のラクダのようにこの水を飲んだ。白馬鑓温泉への分岐点で全員の体力を総合的に考慮した結果、鑓へのピストンは止めてそのまま下る事になった。時間は10時30分。いかにも早い様に思えるが、猿倉まで下る以上は的を射ている判断だと思う。猿倉までは標準時間で6時間を要するからである。
 急坂を下り大出原の大お花畑を楽しみながら鑓温泉には12時に着いた。ここで昼飯タイムを30分取った。かなりの賑わいだったので今夜は畳一枚に二人であろうと想像する事はそれ程無理な事ではないだろう。
 鑓温泉からの下りは前方に見えている小日向のコルまでが結構辛い。雪渓を何本か横切り、小さな上り下りを何回か繰り返すのだが、これがボクシングで言うジャブを連続で受けた時のように効いてくるので、疲れた足には応える。ここを乗り切れば下り一辺倒の路になり水場もあるので、何とかなるのである。  こうして私達は16時20分に猿倉に着いた。実に12時間の行程であった。猿倉からはタクシーで八方温泉の宿へ。ここも運良く、良宿だったので充実感に浸りながらビールと温泉と食事を楽しんだ 事は言うまでも無い。
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5日(日)

 三日目は予定していた一夜山への林道が通行止めということなので 、仁科三湖に行こうという事になった。あの有名な歌謡曲「 あずさ2号」の終着点が青木湖だったので、 どの様な湖なのか見たかったのである。結果はそれ程ロマンチックなところでは無かったが雰囲気は有ったように思う。
 そして最後に訪れたのが大町山岳博物館である。ここは展望ラウンジも有り山座同定が出来るし、山の成り立ち」「山の生き物」「山小屋の歴史」「有名な岳人」等が理解出来るので、山屋としては一度は訪ねて見たいところである。「ナイロンザイル切断事故」の現品(切れたザイル)も展示されている。ここから長野市に出て高速道路で浦和に戻ったのである。

Script by O. and Photo by T.(T.) and O.

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