東北名山で花と星を楽しむ 〜森吉山・秋田駒ケ岳・焼石岳〜

2019年7月4〜7日(日) 天候:曇/小雨 参加:4名 費用:7800円(交通費)

  • 咲き始めた高山植物を訪ねて、東北の山々へ。
  • たくさんの高山植物に出会えたが、天候は不順であまり晴れ間はなく、星が見えたのはほんのひとときだけだった。
1日目(7/4)
 東北新幹線古川駅8:35=(昼食・買い出し)=森吉山ゴンドラ山麓駅14:30=山頂駅14:43ー阿仁避難小屋15:20〜27-森吉山15:55〜16:09-阿仁避難小屋16:33(泊)

 古川駅8:20集合・出発の予定だったが、係のクルマは途中東北道で通行止めや豪雨に遭遇し、駅に着いたのは15分遅れ。そして雨雲の予想から、今日はより天気の良さそうな森吉山に向かうことにした。
 古川ICから再び高速道に入り、盛岡ICで降りる。あとは一般道で田沢湖駅へ。駅前の店で昼食後、スーパーマーケットで買い出しして、いよいよ阿仁スキー場へと向かう。下界はまあまあ晴れているが、周囲の山には雲がかかっている。到着した阿仁スキー場は、平日でもそこそこの数のクルマが駐車しており、ゴンドラ利用での森吉山登山の人気がうかがえる。
 ゴンドラを降りればすぐに高山植物のお出迎え。ニッコウキスゲやハクサンチドリなど点々と登山道を彩っている。程なく今夜の宿「森吉山阿仁避難小屋」に到着し、重いザックを放り出して森吉山に向かう。なだらかに登って行くとやがて稚児平にでる。その名のとおり、稚児車(チングルマ)の群落が広がっているが、既に花は終わって綿毛になっていた。花の時期ならどんなにか素晴らしいことだろう!
 ここまでくればもう頂上はすぐそこ。そこそこの展望が広がる頂上でしばし憩う。次は好天の日に来たいものだ。一等三角点の頂上を辞して、小屋に戻る。今日は我々4人の貸し切りだ。
 この小屋には前回なかったトイレ棟が新設されており、太陽電池パネルも見えないのに、夜間は人が立ち入ると灯りが点く。水場も小屋裏から少し降りたところに沢水がある(前回確認済み)。素晴らしい環境の無人小屋だ。ただ2階の居室の床に、冬季登山者のものと思われるアイゼンの爪痕が無数に刻まれている。「小屋に入る前にアイゼン外せよ!!」


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2日目(7/5)
 阿仁避難小屋6:00ーゴンドラ山麓駅8:33=(入浴・昼食・買い出し)=アルパこまくさ=(路線バス)=秋田駒ヶ岳八合目15:10ー阿弥陀池小屋16:15〜19ー男女岳16:33〜39ー阿弥陀池小屋16:56(泊)

  夜明け前、かなり激しい雨が屋根を叩いていたが、起床する頃には静かになって朝食を終えた頃に雨は上がった。立ち寄る予定の日帰り温泉の開館時刻に合わせて下山開始。濡れた木道に気を使い、水溜りを避けながら、一気にスキー場ゲレンデへ下って林道をゴンドラ山麓駅まで歩いた。

 車に戻り温泉へ。通り道から少し脇にそれた「打当温泉マタギの湯」で汗を流してから、田沢湖駅へ。買い物、昼食を済ませて、秋田駒ケ岳八合目行きのバスが出る「アルパこまくさ」という施設まで走る。登山シーズンは八合目までの道は交通規制があり、自家用車は乗り入れできないので、ここからバスに乗らねばならない。我々と男性が一人乗っただけのバスが登って行く。が八合目に着くと折り返しに乗る登山者で大混雑。増発バスも出るらしい。日帰りでも十分に楽しめる山に、大きな荷物で午後の遅い時刻から登ろうとする我々はかなり奇異に見えるらしく、盛んにどこに行くのか聞かれる。
 なお八合目の売店兼休憩所の二階は無人の避難小屋となっており、山域を管理する団体の方のお話では、シーズン中も混雑して泊まれないなどということはないらしい。ぜひいつか泊まってみましょう。星が綺麗ではと期待されます。
 ここから男女岳をぐるりと一周する新道で阿弥陀池小屋を目指す。緩やかな鉢巻登山道で、たくさんの高山植物を愛でながらの一時間余の行程だ。小屋に着いたら既に一組の夫婦と単独行者が到着していた。私達は荷物を置いて、とりあえず最高峰の男女岳に登ってくることにした。天候は回復して、そこそこの遠景が見えていた。岩手山が半分見える。この登り道も高山植物が豊富で、少し登っては足を止める感じ。
 この山で私は初めて「オノエラン」「ミヤマウスユキソウ」「シロバナハクサンチドリ」を見た。もっと花に詳しければ色々気づいたかもしれない。それが残念だ。小屋に戻り、夕食を摂っていると先に到着していたご夫婦は、既に就寝状態。真似して寝たら今日中に起きてしまうと思ったが、新たに到着した若者とともに、手早く食事を済ませ静かに横になった。
 ウトウトして目が覚めたらやはりなんと21時。で、空はどうかと外に出てみると上空はほぼ快晴。阿弥陀池のほとりからは小屋の上空に夏の天の川が横たわる。素敵な星空だった。1時間近く外でねばるが人工衛星の軌跡がうるさくて、写真にならない。星景写真はやはり深夜だなと思ったが、やがて周囲はガスに巻かれて星空は見えなくなってしまった。小屋に戻って再び横になれば、翌朝まで目は醒めなかった。
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3日目(7/6)
 阿弥陀池小屋4:21ー男岳分岐4:30-(ムーミン谷)-大焼砂分岐5:38-阿弥陀池小屋(朝食)6:29〜7:35-八合目8:38=アルパこまくさ=(入浴・昼食・買い出し)=焼石岳中沼登山口14:55ー銀名水避難小屋17:01(泊)

 夜明け直後、4時起きで行動食を持って朝飯前の散歩と称していわゆる「ムーミン谷」へ向かう。男岳への分岐からまるでガレ場のような急峻な道を谷底へと降りていく。底に降り立てば、谷というより正確には盆地の底の高山植物に囲まれた道を歩いて行く。両側一面のチングルマ群生は見事だが、少し進むと急にチングルマは綿毛になってしまう。見事な変わりようだ。他にもサンカヨウやカラマツソウなど草原に彩りを添えている。おそらく火山の火口原、あるいはカルデラなのだろうが、少し前の木曽御岳の映像がフラッシュバックして、ちょっと落ち着かない気分だ。
 やがて谷を横断して、大焼砂への分岐点に着く。ココからは稜線様の真っ黒な大斜面を登っていくが、広大な斜面に点々とコマクサの株が広がっている。高山植物の女王の異名を持つ花が、可憐に咲き誇っている。一説には岩手山の焼走と双璧と言われるコマクサの大群落だそうだが、確かに見応えがあった。ただ登り続けていくと、本来コマクサは他の植物が生育しないキビシイ環境に育つ、と言われているが周囲にはイワブクロやキスミレなど他の植物も育っており、もしかして今後コマクサの状態に何か影響があるのでは?と心配な気分になった。
 稜線に出て小屋へ戻ろうとすると、阿弥陀池を示す古ぼけた指導標があり、指し示す方向に踏み跡のごとき溝がある。で、うっかりそちらに踏み込んでしまった。少し降りると頼りない足跡だけのルートになり、ここでGPSをチェックして間違いに気がついた。雪渓を横切って、小屋下の木道に出てようやく避難小屋に帰り着いた。大失態!!
 小屋で朝食を摂り、焼森を通って八合目に戻る。途中にはコマクサの群落、その先には石楠花の小尾根があり、多くの登山者とすれ違いながら下山した。天気がいいので夥しい数のハイカーがバスで続々とやってくる。それを横目にまたまたガラガラのバスで、アルパこまくさに戻った。

 さぁ残すはあと一座。ひたすら羽州街道を南下する。途中「柵の湯」という格安の温泉施設に寄り、観光地の食堂はどうも・・・ということで、買い出しついでに大規模スーパーマーケットのフードコートで昼食を摂った。そして焼石岳中沼登山口へ。駐車場には20台近い自家用車が停まっており、まだ山中にはかなりの人数が残っているようだ。避難小屋の混雑が気になり、すれ違う人の数、パーティの数を数えながら銀名水避難小屋へと登っていく。
 「あと2台分」あたりで小屋に到着した。実は昨年、この小屋に行けば登山者の残した食べ物があることを学習した?熊が、盛んに小屋周辺に出没して、エントランスの階段まで登ってきていたらしい。そんな写真があちこちに掲げられていて、少しビビっていたのだが、今年はそのようなことはなくなったと、小屋にいた地元の方が話してくれた。この避難小屋も含めて今回泊まった小屋は、実に清潔で快適なまさに「★★★★」四ツ星の山小屋だ。東北にはこんな無人小屋があちこちにあり、いずれも地元の方々が大切に整備して、私達を迎えてくれる。本当にありがたいことだ。「ふるさと納税」しなくては・・・。
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4日目(7/7)
 銀名水避難小屋5:14ー焼石岳6:46〜49ー銀名水避難小屋8:09〜33ー中沼登山口10:18=(入浴・昼食)=熊谷駅18:10(解散)


 東北名峰の旅も今日が最終日。相変わらずの曇空のもと、焼石岳頂上に向かう。銀名水からは比較的なだらかな道を登っていくので、荷物の軽さも相まってスイスイと登っていける。幾度か雪渓を横切るところがあり、一箇所は滑ったらどこまで落ちるの?という大きさで少し緊張した。登山道には見慣れた?高山植物が咲いていたが、ここではウサギギクに出会った。こんなに早い時期でも咲くのかと驚いた。
 1時間30分ほど歩けば風の強い頂上に到着。結構な風なので、記念写真を撮っただけで下山の途についた。予定の三座に登頂できた充実感、たくさんの花が見られた満足感を感じながら、銀名水避難小屋に戻る。途中雨に濡れたサンカヨウの花びらが透明になっているのを見つけて感激した。
 小屋からは日帰り登山者に道を譲りながら、木道で滑らぬよう(それでも見事に尻もちをついた!)、沢の中で転ばぬよう気をつけながら下山した。中沼駐車場にはほとんど満車に近いくらいの車が止まっていた。早朝に出発すれば、日帰りで銀名水から頂上を経由して金名水、尿前川沿いの登山道で周遊できそうだ。焼石岳のお花畑は頂上の北側が本命だと、すれ違った登山者に教わったので、次回はそんなコースも検討したいと思った。
 帰路は奥州市の胆沢川温泉「さくらの湯」で入浴(素敵な露天風呂がありました)。館内の食事処で昼食も済ませて帰宅の途に。東北道では途中雨に降られたが、渋滞もなくすんなりと帰熊し解散となった。ご参加の皆様お疲れ様でした。長丁場でしたが、ご協力ありがとうございました。

Script by O.,  Photo by O. and K.(K.)

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