2020年8月8日〜11日(火) 参加者: 2名
行程
- 久々の厳しい縦走コースにヘトヘトの帰還となりました。
- 天候は予想を上回り、4日間ともほぼ晴れる展開になり救われました。
- 山小屋はどの小屋も密を避ける努力で快適状態、打撃を受けながらも開業してくださり感謝しかありません。
- 3000m級の縦走稜線の大パノラマは、やはり歩く者に感動を与えてくれました。
8日 (夜行高速バス)富山駅(6:40)=富山電鉄有峰口(9:10)-折立(11:05-11:10)-五光岩ベンチ(14:00)-太郎小屋(14:40泊)
9日 太郎小屋(5:40)-薬師沢小屋(7:40)-(大東新道)-高天原峠(11:30)-高天原山荘(12:30チェクイン)-竜晶池(13:20-13:40)-高天原温泉入浴(14:00-14:30)-高天原山荘(泊)
10日 高天原山荘(5:40)-温泉沢の頭(9:20)-水晶岳(10:45-11:30)-水晶小屋(12:10)-東沢乗越(13:00)-野口五郎岳(14:50)-野口五郎小屋(15:10泊)
11日 野口五郎小屋(5:30)-真砂分岐(6:00)-南真砂岳(7:00)-(竹村新道)-湯俣岳(8:10)-湯俣温泉(10:20)-噴湯丘(11:00-11:30)-湯俣温泉(11:50)-湯俣登山口(13:30)-高瀬ダム(15:00)
8日
久しぶりの長期縦走の山行に心は踊るものの夜行バスは堪えた。折立から太郎小屋への道のりは結構な急登が最初に出てくる。出足は重く30分も登ると息が上がってきた。
3年ぶりのこの道を思い出しながら登る。先行する相方は足取り順調。時折、振り向いて止まってくれるが、こちらは息が上がっている。なんとか森林帯を抜け石の階段まできた。しだいに周囲の景色が見えだすと気分は上がってくる。天候はガスってはいるが、雨の降りだす気配はない。石段をせっせと登る。かなり疲れてきたあたりでやっと五光岩ベンチに着く。ただあとは整備された階段と木道を歩けば着くぞとの決意でひたすら相方の後につく。
前方に太郎小屋だ。周りの視界も見えだし薬師岳、黒部五郎が見えた。まずはチェックインを済ませてから、周囲探索を実施。小屋の休憩ベンチで持参した酒とウィスキー、つまみでのんびり1時間30分ほど2400mの景色を堪能した。小屋のコロナ対策は万全で、消毒液の設置、食事室のビニールの設置、寝室のゆとりの広さなど考えられる対策は実施されていた。夕食の後はすぐ就寝してしまった。6時を回った頃かもしれない。明日の道中は長いなあ。
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9日
5時40分出発、出足は下り道が多いのでペースは順調、2時間程で薬師沢小屋に到着。天気は予想に反して晴れてくれた。薬師小屋の橋を過ぎるとすぐ大東新道への分岐となる。
ルートは結構長い石ころの河原歩きが続き、A沢の分岐までくる。この石ころの河原と脇に逸れる藪道をとおりながら北海道のカムエク登攀を思いだしていた。奥深さと川の水、周囲の雰囲気がどことなく似ていました。
A沢を過ぎると大東新道一番の難所の鎖場がありました。しばしの岩場の辺釣りは緊張を強いられます。しばし遡行をして黒部川と分岐するB沢までくると黒部川の下流の景色が実に素晴らしい。遠くの岩壁が想像できる圧倒的威圧感が漂ってきます。釜の深さの色もなかなかのものです。
ここから本流を離れ少し沢を上がるとすぐ尾根沿いの急登となる。ここからの山麓ぞいの登りはきつく、アップダウンも足にくるものがありました。C沢、D沢の上部の岩壁の滝は唸るほどの大岩峰から流れていました。E沢を過ぎるとジグザグの急登があり、やっと平行道になると高天原峠の分岐に着きました。やれやれの大休止をとる。ここからの下り気味の道は風光明媚で気分は癒される。林道を抜けると高天原山荘はすぐでした。
荷物をアタックザックに移し替え、温泉じゃ、夢の平じゃと道を急ぎ、誰もいない景色と温泉を堪能しました。露天風呂は1つしかなかったが小屋付風呂は2か所あり、1か所は女性専用でした。
高天原小屋前のベンチで賞味期限切れのビール(400円)で乾杯し、明日の登坂となる温泉沢の尾根と水晶岳の眺めを堪能しました。高天原山荘もコロナ対策を万全に実施し、寝室は個別のビニールで密対策を実施されていました。
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10日
この日は山行最大の難所である温泉沢遡行と尾根登りの行程です。
出発時間は予定通りです。高天原温泉の脇を通り、目印のあとを追って温泉沢を登りました。水量が多いのか渡渉は幾数回、石がゴロゴロしている。傾斜がある河川沿いを遡行すると滝が見えてくる。河川に行き止まりのロープが確認できたら、左の急登尾根の森林帯を登ることとなる。相方はここからが軽快に高度を上げていく。私は喘ぎ喘ぎの芋虫前進状態でしか登れない。見上げると尾根の榛松帯、ガレ場帯、岩稜帯が続いている。
やっと尾根の稜線にたどりついた時には、あと何時間かかるのかと本当に思った。それでも気力を振り絞りたどりついた温泉沢ノ頭にはなんとか計画時間内で登れた。
苦労した代償は素晴らしい360度の展望が待っていました。高度感満載の大展望はここでなければ味わえない、これぞ北アルプスのど真ん中といった感じでした。
水晶岳までの稜線歩きは気分最高、2組の猛者登山者に行きあっただけで景色の独占感満載でした。水晶岳には数多く登坂者が登頂しており人気ぶりがうかがえました。ここから、穂先が少ししか見えなかった槍岳と北鎌の折れ線グラフのような稜線が印象的でした。今年は家族の反対で同行できなかった友人との昨年の激登攀が鮮明に思い出されました。
水晶岳頂上では50分ぐらい景色を満喫。水晶小屋で水分補給し、野口五郎岳へ向かいました。道のり途中の真砂岳までが意外に長くくたびれました。さすがの相方もこのあたりでペースを落としてくたびれムードになってくれました。野口五郎岳の登りは緩いスロープ状の迂回路があり、頂上峠付近札より5分程度の距離で頂上。眼下の野口五郎小屋はここから10分。
定例になった小屋前での乾杯(期限切れビール500円)を実施。眼下の山景色を楽しんだ。
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11日
風が強い。小屋の人から少し時間をおいてから出かける方がいいとの助言があり、朝食のおにぎりを食べる時間がありました。
陽が昇り、少し収まったとは言え、西風が足をすくう感じを受けながら野口五郎岳、真砂岳を回り、真砂岳分岐まで30分、ここから竹村新道に入る。南真砂岳までは基本下り、お花畑もあり楽しめる道のりでした。そこからが単調で長い、細い、ヤブ混じり、急坂の下りでありました。
池をすぎると湯俣岳の登りが妙にきつかった。はっきりしない立札が湯俣岳頂上の分岐で5mほど離れたところに三角点がある。そこからの下りがまた長かった。
眼下に高瀬川の見える展望台までくると安堵感がでてくる。湯俣温泉晴嵐荘の管理者に渡渉地点と天然記念物の噴湯丘への道を教わり、膝上まで水量のある川をわたる。相方が「噴湯丘はおっぱいに似ている」と言うから思わす胸を見てしまった。「大きいのかなあ?」。東電水門の脇を通り壊れかけた橋を渡り、山の神を祀っている神社に手を合わせて通過し、温泉が流れている河原を20分ほどいくと流れの対岸に噴湯丘があった。なるほどの天然記念物である。河原からでるお湯はかなり熱く、水を引くと河原温泉を楽しむことができるそうである。
晴嵐荘まで戻り、あとはひたすら山道、林道、車道をもどるだけであるがここも長かった。高瀬川の流れはきれいで、針ノ木岳など山岳景観も素晴らしかったが長丁場の山行疲れが暑さとともに出てくる。3本目の長いトンネルを過ぎて、高瀬ダムのコンクリートが見えると着いたの感嘆の言葉が出てくる。相方が公衆電話を掛けに行ってくれた。感謝。
じんわり北アルプスの縦走完遂をかみしめた瞬間であった。
Script by K. and Photo by M.
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